18.7.12 205日目 カザフスタン ベイニャウ→アクタウ

長い1日だった。


10時過ぎ、起きる。


車内はどこから乗ってきたのか知らないけど、ものすごい数の物売りと両替商で通路はひっきりなしに人が歩いていた。
両替商のおばちゃんに声をかけて、俺とタカくんの手持ちのスムを全てカザフスタンのテンゲに替えてもらう。
レートは良くも無いし、悪すぎる訳でもない。
国境ならこんなもんかなぐらいのレートだった。

昨日ヌクスで買ったカップ麺を食べる。


お湯を入れて待っていたら、向かいのベッドのおじさんが、大きなナンをくれた。
カップ麺のスープに漬けながら食べたら美味しかった。
タカくんもナンをもらったらしい。お腹いっぱいになる。

昨夜乗った時からだったけど、向かいのベッドのウズベク人の方々と隣のベッドの子供は俺たちにしょっちゅう話しかけてくる。ウズベク語かロシア語だから分からないけど。
ここまでのルートと、この先どこに行くかを聞かれて説明する。
パスポート見せてよと言われたので見せる。
日本の音楽聞かせてくれと言われる。
隣の子供から写真撮って欲しいと言われるので一緒に写真を撮った。

13時、ウズベキスタン側の国境へ到着。
ネット情報だと2時間ぐらい止まるらしかった。

物売りの人や、両替商や、途中で乗ってきたチケットを持っていない乗客も椅子に座らなければならないので、車内はギュウギュウだった。
俺たちの席にも、誰だか知らないおばちゃんが座ってきた。
全席指定のはずなんだけど。

列車に軍人らしき人が乗ってきて、一人ずつパスポートをチェックをして出国スタンプを押していく。

列車は空調が無い。
走っていれば窓から風が入ってきて暑くは無いけど、止まっているとサウナ並に暑い。
汗だくで順番を待つ。

順番が回ってきて、パスポートの写真と見た目が違うので、立たされて顔をよく確認されたが、笑いながらスタンプは押してくれた。
ただ車内の何人かは何かしらがマズくて押して貰えなかった。

一時間ほどで列車は出発。
15分ほど走ると、駅みたいな場所に止まった。
ここでさっきスタンプを押してもらえなかった人達はどこかに連れて行かれた。

車内は暑すぎるし、汗だくだし、いったい何分ここに止まるのか分からない。
他の乗客がみんな列車から外へ出て行ったので、俺たちも二人で外に出た。


すると、なぜかホームではコンサートがやっていた


女の人が歌っていて、ウズベキスタン軍の軍人が踊っていて、乗客達が周りで手拍子をしている。
もう全然意味分からない。

たぶん今は、さっき弾かれた人達の出国審査を待っている時間。たぶん。
ただこれはどういう事なのか分からない。
今までも何度も通ってきた陸路国境。
どこもピリピリしていたし、どこも緊張感も雰囲気もあった。

ただ、なぜここは歌って踊っているのか。
笑いながら眺めるしかなかった。

煙草吸いながら眺めていたら、ウズベキスタン軍の人が俺らに近づいてきて、手を引っ張って、一緒に踊ろうと連れて行こうとする。
嫌だよと断っても強引に中心部へ連れて行かれた。
仕方ない。怖いし軍人達盛り上がるし
最後は握手して逃げた。


暑すぎてホームで売っていた、凍った水を買おうとした。
ただ俺たちは両替をしてしまっていて、手持ちはカザフスタンのテンゲしかない。
テンゲで買えるか聞くと、ウズベキスタンのスムでしかダメだと言われる。

そしたら横でやりとりを見ていた親子のお父さんが俺たちに水を買ってくれた。
二人で何度もありがとうと言ったら、気にすんな的な事を言われる。
13000スム、50円ぐらい。
こういうの、今までも何度もしてもらった。
ずっと覚えてる。


1時間ぐらいしてアナウンスがあって、みんな列車に乗り込む。
乗り込むとすぐに発車。
すぐに車掌からカザフスタンの入国カードが配られる。


20分ぐらい走り、列車は砂漠の真ん中で止まった。
先ほどとは違う制服の軍人達が乗り込んできた。
カザフスタンサイド。


軍人達は車内の机に機械を置いて、一人ずつ呼ばれる。
パスポートチェックと指紋読み取りと、顔写真を撮られてスタンプを押される。
何事も無く入国。
ただ、ここでも1時間ぐらい止まり、本当に暑かった。


全員入国審査が終わると、列車は1時間ほど走り、19時にベイニャウ駅に到着。


すぐにアクタウ行きの今夜発の夜行列車のチケットを買うため、チケット売り場へ向かう。
自分たちの番が来て聞くと、今夜は満席だった。
次は明日の16時発らしい。


ネット情報では、21時過ぎのアクタウ行きに接続出来ると他の方が書いていた。
ただ、このチケット売り場で聞いた話だと、たぶんその列車は今は無い。
現在、ベイニャウ~アクタウは16時発の1本しか無いらしい。
今夜は満席だと言われた列車はおそらく、俺たちが買わなかったヌクス~アクタウへの直通列車。

あると思っていた、接続列車は今現在は無い。
ヌクスから高いからという理由で買わなかった、国際直通列車以外の移動方法は無かったということ。
仕方ない。

駅の前で二人で呆然としてたら、白タクの運ちゃん達が話しかけてくる。
一人になんとなく値段を聞いたら、アクタウまで一人15000テンゲ、5000
列車なら1800テンゲ、600円なので高すぎる。


事前に調べていた、いくつかの日本人達のブログから考えると、選択肢は3つだった。

1.白タクに乗る。
ただ列車より速いため、今日の夜中に着いてしまう。

2.明日の16時発を待つ。
ただここヌクスはたぶん安宿が無い。情報も無い。ホテルかもしれない。
1日無駄にもする。

3.何人かの日本人が書いていた情報。チケットを持っていなくても、アクタウ行きの列車の車掌にお金を渡せば、ドアの前のデッキや荷台に乗せてくれるらしい。
ただこれはリスクが大きかった。アクタウ行きが何時発か分からない。失敗した時は、そこからヌクスでの宿が見つかるか分からない。

何より今はもう19時だということ。
そして、ここまで汗をかきすぎた。二人とも心底疲れてしまっていた。


他の白タクに話を聞くと、一人5000テンゲ、1700円と言ってきた。さっきの3分の1。
二人で乗るから4000にしてくれとか4500とかにしてくれと言ったが、それはダメだった。
値下げが全然ダメだったのでこれが相場なんだと思う。

二人で相談して、この白タクに乗ることにした。
5~6時間で二人で10000テンゲ。
交渉して、アクタウの宿まで送ってくれるようにお願いする。
交渉も、運転手はカザフ語なので、電卓と地図だけだけど。

乗用車には運転手以外全部で4人のお客さん。
他の乗客が揃うまで待つ。


待っている間に駅前の商店に行く。二人とも喉も渇いていたし、腹も減っていた。
ただ食べ物は売っていなかったので、スナック菓子を買う。

商店の娘さんが英語を喋れた。
一応アクタウまでのバスは無いか聞くと、無いという。
白タクの相場を聞くと、一人5000テンゲだと言われた。
商店の中に他の白タク運転手もいて話したので間違いない。
相場通りだから仕方ない。

なので調べていた情報とは現在は違い、ベイニャウで乗り換える場合は、乗継ぎ列車は無く、相場5000テンゲの白タクに乗るしかないという事だった。
それでも、ヌクスからアクタウへの直通列車よりは安いけど。


19時過ぎに出発。
車は一面の砂漠地帯を走る。
エアコン壊れてるし、後部座席の窓も壊れて開かないから、暑かった...。


途中休憩。凄い場所。



何度か休憩を挟みながら、深夜2時過ぎにアクタウへ到着。
他の乗客を各所に降ろし、途中商店にも寄ってもらいながら、最後に俺たちを宿まで送ってくれた。

降りて、約束の二人分の10000テンゲを渡すと、運転手が話しが違うと言ってくる。
一人10000、二人で20000テンゲだと。

これはどう考えてもおかしかった。
何度も電卓で5000×2と確認し、10000で二人だよと何度も確認した。
相場も一人5000だった。

ただ彼は20000テンゲだと譲らない。
着いたからふっかけてきているのか、何なのか...。
ただどう考えても俺たちは悪くないので、無視して荷物を持って宿の受付へ行く。

ただ運転手もついてくる。
宿の受付の人が英語が話せたので、運転手と通訳してもらう。
すると運転手から二人で18000テンゲ、一人9000テンゲでいいと言われる。

値下げする意味も分からない。
宿の人は、これで解決するよ?と言ってくれたが、断った。
5000以上払う気は二人とも無かった。
ただこんな深夜に関係の無い宿の人を巻き込んで申し訳ない。

泊まろうとしていた宿は、巨大なリゾート施設で、受付がここでは無かった。
安い別館の方へ移動する。
ただ運転手はずっとついてくる。

別館の受付でも同じ話し。
宿の受付の人と警備員さんの3人も巻き込んでしまう。
運転手は6時間も運転したとか、たくさんガソリンも入れたと言ってくるが、関係無い...。

通訳してくれてる宿の人に、何度も確認したし、他のドライバーや商店の人も5000テンゲが相場だと言っていたと説明して、運転手に伝えてもらったが通じない。

運転手は警察を呼ぶと言い始めたので、構わないと言った。
本当に呼ぶとも思わなかった。
タジキスタンでは警察はお金を払わないと動かないと他の人から聞いていた。
カザフスタンではどうかは分からないけど、この運転手に10000テンゲ払うぐらいなら警察に払った方がマシだった。

運転手は諦めたのか、本当に警察を呼びに行ったか知らないが外に出て行った。
宿の人からは早く寝ちゃいなと言われた。
宿の人達には本当に申し訳なかった。

ひとまず空腹すぎるのでキッチンで二人で袋麺食べていたら、宿のオーナーらしき人が運転手と来た。
オーナーに事情を説明しながら外に出ると、警察がパトカーで来ていた。

オーナーの話しでは、運転手は電卓の5000×2をチップ的な物だと勘違いした的なことを言われたが、それは意味が分からなかった。
そういう確認の仕方はどう考えてもしていない。

そして警察はこれ以上続けるなら、ベイニャウからの相場などを調べて、また明日来るという話しだった。
ただオーナーの話しでは相場は前後はするものの、5000テンゲがやはり相場だという話だった。

そして、妥協案のもう8000テンゲを払う気は無いか聞かれたので、それは無いと答えた。
すると、オーナーは部屋に戻りなさいと言われた。
警察からは何も聞かれなかった。警察は呆れた顔をしていた。

オーナーは最後、運転手にカザフ語かロシア語で「お前らがそういう事をするから、ウズベキスタンから中国人や日本人がアクタウに来なくなるんだ。」と言っていた。
会話の流れと、単語からそういう話しだったのは分かった。
最後のその話しで終了した。

警察に会釈すると、優しい顔で会釈してくれた。
運転手は泣いていたが、泣きたいのはこっちだった。
オーナーからは、明日またこういう話があればすぐに私を呼びなさいと言ってくれた。
本当にありがたかった。


こっちの捉え方だし、俺たちの勘違いがあるかもしれないけど、さすがにこれはこちらに落ち度は無いように思えた。
十分に確認したし、どうやったら勘違いされるのかも分からなかった。
ただ泣いてしまうような気の弱い、小柄な運転手だったからアレだったものの、ガタイのデカい運転手だったら怖かった話し。

宿の人達にも、警察にも申し訳なかった。

とても後味の悪い1日だった。
朝6時就寝。長い1日だった。




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