18.12.17 362日目 ヨルダン アンマン

この日も、いつまでもずっと覚えているであろう1日だった。
あまり見所が無さそうなアンマンを、簡単に観光する1日だと思っていた。

今日は晴れた。

朝8時に起きる。
宿の朝食を食べて、支度して出かける。

宿から歩いて10分、キングアブダッラーモスク。
アンマン最大のモスク、3000人入るらしい。
入場料はJD2、360円。




人は少なかった。大きなモスク。
チケット売り場の人は、お釣りが無いから細かくしてこいとか言うし、お土産屋の客引きはしつこかった。

2km離れた中心地へ歩いて向かう。
途中すれ違った少年達に話しかけられて答えると、金くれと言われ、断るとめちゃくちゃ罵声を言われる。
無視して離れたけど、めちゃくちゃスラングワード。
仲間達とふざけているだけだし、たいしたことでは無いのは分かるけど。
ただ、まぁいきなりで腹立つ。

というか、ここまでヨルダンは本当にこんなんばっか。
今までで1番ひどい気がする。
そこそこ観光客がいるからなのか。その割にペトラ以外は特に観光地が無いから外国人が珍しいのか。

他の旅行者のヨルダンの記事読んでも、みんな書いているから、来る前から思ってはいたけど。
客引きも、タクシーの運転手も、いきなり話しかけてくる人も、腹立つことが多い。
どこの国でもあることだけど、ヨルダンは悪意を感じることが多い。



小一時間歩いて、丘を登る。
アンマンは町中坂。丘も多い。19個の丘からなる街らしい。

丘の上にある、シタデル、アンマン城へ。
入場料はJD3、540円。

丘から、アンマンの街が一望出来る。
丘の麓にあるローマ円形劇場。



シタデル。遺跡跡。



併設されている博物館。





1時間ちょっとフラフラして降りる。
ローマ円形劇場の前を通ってダウンタウンへ。
円形劇場はたくさん見たからパス。


途中のお店でラバッシュを買って食べる。
コーラ付きでJD1.5、240円。


美味しかった。
食べていても面倒臭い感じで話しかけてくる、おじさんが多い。


ダウンタウン最大のモスクへ。
アル・フセイニ・モスク。
街中の賑わっているモスク。



中でもゴロゴロしている人や寝ている人も多く。
俺も椅子に座って小一時間ボケッとしていた。

去年の今日、仕事を辞めて無職になった。
明後日が日本を出た日。
あれから1年かぁとか思いながら。



帰ろうと思って外に出る。
モスクは土足禁止なので入り口の下駄箱に靴を入れる。

下駄箱に行って靴を探すが、無い...。
たしかに脱いで入れた場所に靴が無い...。

盗まれたか...。
そんなことあるかと...。
アルメニアで買った800円ぐらいのペラペラの靴だし...。
ただここではアジア人はめちゃくちゃ目立つ。
狙われたか...。

もしくは間違って履いて行ってしまったか...。
そんなことあるかなぁと...。
スリッポンタイプであまりいないし...。

他の下駄箱やモスク内を探し回るが見つからない。
何人かの人が「靴が無いのか?」と話しかけてくれる。
その反応から盗まれる可能性がある場所みたいだった。
モスクだぞ...。神の目の前で...。

本当になんなんだこの国は...次から次へとと思った...。
靴が無いのは困る...。
裸足で帰るか、靴屋に行くか...。


途方に暮れて、どうしようか考えていたら、一人の男の人が話しかけてきた。
「靴を無くしたのか?」と。
そうだと答えると、一緒に探してくれた。
色も聞いてきて。
一通り下駄箱を探してもやはり無い。

するとその人は、「ちょっとここで待ってろ。座ってろ。」と言って外に出て行った。
靴のサイズを聞かれて答える。


単純に何なんだろうと思った。
靴を持ってきてくれるのか何なのか。

10分ぐらい探し続けていると、その人が帰ってきた。
手にはビニール袋を持っていた。
渡されて開けると、中には新品のブーツが入っていた。

この時、俺は1番最初に迷った。
親切で俺に靴を買ってきてくれたのか。
その場合どうしたらいいのか。

もしくはこういう詐欺なのか。
その可能性も考えていた。
盗んで、困っているところに、新品の靴を持ってくるという。


俺は迷いつつも、「いくら?」と聞いた。
すると彼は、「NO」と。

この人は親切で、困っている俺に靴を買ってきてくれた人だった。
だからサイズを聞いてくれた。

ただ、買ってきてくれた靴は、俺が履いていた物よりも上等な、そこそこ値段がしそうな靴だった。
一万円もしないだろうけど、数百円では絶対に買えない。

俺は、「いやいやいや、これいくら...?」と再び聞いた。
頭の中では、お金を払うにしても高かったらどうしよう、断るのもどうしたらいいか分からない、とか思っていた。

すると彼は再び「NO」と、お金はいらないと。
そのあと彼は続けて、「俺はムスリムだから。」と言った。

俺はただ呆然としてしまった。
彼は俺と握手して、「じゃ!」と言って去って行った。
ありがとう、と言うと片手をあげて、街中へ消えて行ってしまった。


貰った靴を履いて、しばらくモスクの前で呆然としていた。
いやぁ...と。

俺は名前すら聞かなかった。
最後まで疑ってしまって。

ただただ親切な人だった。
俺が困っていたから。

靴を無くしている人を見て、靴を買ってくるって。
そんなことすぐに出来るだろうかと。

俺はムスリムだから、その一言がずっとループした。
イスラム教徒として人を助けるのは当たり前、だからなのか。
それとも、モスクの中で困っている、もしくは盗まれたと思って、観光客の俺に対して悲観的には思わないでね、なのか。
それとももっともっと、違う意味なのか、簡単な事なのか。



ただただ申し訳なくなり、去って行った方に向かう。
近くにいないか、もう1回会えないかと思ったけど、見つからなかった。

モスクに戻る。
ちょうどお祈りの時間が来て、人がごった返していた。
もう1度、本当に盗まれたのか、もしかしたら間違えたから返してないか探したけど、見つからなかった。

どうしていいか分からなかった。
こんなことあるかなと。
さっきまでヨルダンにずっと腹が立っていた。
ただ、当然のことで、そんな人だけでは無い。


日本を出て1年たつけども、俺はいったいどれだけの人に助けられただろうか。
道を聞くとか、色々教えてもらうとか。
それだけじゃなくて、今日のような事もたくさんあった。

あの場面で、すぐに靴を買ってこようと思ってくれて、お金は受け取らなくて、一言「俺はムスリムだから。」と言ったあの人がかっこよすぎて。
靴が嬉しいとか、イスラム教がどうこうじゃなくて。

それに対し、俺は疑い、何も出来なかった。
ありがとうしか言えなかった。

ただ感謝して帰る。
靴はピッタシだった。




さっきのラバッシュだけだとお腹がたまらず、モスクの近くでもう1度ご飯を食べる。
最初いくら?って聞いたらJD1.5って言われ、その後「ごめん、間違えたJD1.9」と言われる。
ホントかどうかは、この時はもうどっちでも良かった。

チキンバーガーセット、300円。


食べてから、もう一度モスクに戻ったが、靴は戻っていなかった。
周りを歩くが彼は見つからなかった。

帰る。


変な時間にご飯食べたせいで夜中お腹がすく。
宿の向かいのパン屋が開いていたので卵とチーズが入ったパンを買う。JD1。


夜は日本から電話が来て、久しぶりにいろんな人と話した。
日本を出た以来1年ぶりに話した人もいた。

たまたまだけど、2日ぐらい前から今日まで、今までお世話になった人から相次いで連絡が来ていた。
ミャンマー、カザフスタン、ポーランドと。
たわいも無い内容だけど。
今日の事もずっと覚えている思う。

1年がたつ。まだこんな所にいる。
色々な事があった。


明日からはついにインド。
またガラッと色々変わる。




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